名古屋高等裁判所が賠償命令~別業務での再雇用を法に反すると認める
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- 2016/11/01
トヨタ自動車で事務職として働いていた男性(63)が、60歳定年後の再雇用を希望した際に清掃業務を提示されたのは不当であるとして、会社に対して地位確認と賃金支払いを求めていた訴訟の控訴審で、名古屋高等裁判所は9月28日、会社に約127万円の賠償を命じました。
男性は再雇用にあたり、雇用期間が最長5年の「スキルドパートナー」職としての再雇用を希望しました。しかし、会社は同職種としての能力が再雇用の基準に達していないものとして、清掃業務で1年契約のパート勤務を提示しました。男性は、その再雇用を拒否し、再雇用されませんでした。
判決で裁判長は『どのような労働条件を提示するかは企業に一定の裁量がある』と認めたうえで、定年前と全く異なる職種の提示は『継続雇用の実質を欠き、通常解雇と新規採用にあたる』と判断。「適格性を欠くなどの事情がない限り、別の業務の提示は高年齢者雇用安定法に反する」と指摘をしました。
なお、一審の名古屋地方裁判所は会社側の主張を認め、男性の請求を退けていました。
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門田より~
労働契約とは何か、を考えさせられる判決が続いています。
平成24年の高年齢者雇用安定法の改正により(平成25年4月1日改正施行)定年の引き上げや廃止に踏み切る企業がある一方で、定年60歳を維持したまま(つまり、企業にとっては現行の人事制度を大きく変えずに)継続雇用制度を選択する企業が多くを占めます。これまでも、これからも基本的に(法令の考え方として)、継続雇用制度をどのように設計するか、は企業の裁量に委ねられています。しかし今回の判決で、名古屋高等裁判所は、事務職の従業員に清掃業務を提示したことは、企業に与えられている一定の裁量の範囲を超えており、違法だと判断しました。
違法かどうかは、『社会通念』というあいまいな基準に照らし合わせて判断されるため、とても微妙で、裁判官も判断は分かれることでしょう。この裁判も一審の名古屋地方裁判所ではトヨタが勝訴しており、一審と二審で異なる判決が下されています。最高裁の判断はまだ示されていませんが、Harmony通信10月号で紹介した「働き方改革」のテーマにも高齢者雇用は挙がっていますので、今後、企業としては、違法と判断されるリスクも念頭に置き、社会通念を企業側に厳しく解釈した上で、継続雇用制度の設計に取り組む必要があると考えます。
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