〔判例より〕求人票と異なる労働条件での雇入れには細心の注意と説明を
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- 2018/03/05
福祉事業者A苑事件(京都地裁 平29.3.30判決)(求⼈票と実際の労働条件との相違)
[概要]
Y社(被告:福祉事業を開始するところ)
:ハローワークで求人の申し込み。求人票~正社員、期間の定めなし、定年制なし
X(原告:当時64歳)
:求人票のコピーをもって面接の上労働契約を締結Xが定年制がないことを質問したところ、Y社代表者はまだ決めていないと回答。労働契約の期間の定めの有無や労働契約の始期については特にやり取りはされなかった。
Y社:ハローワークに、雇⽤予定⽇を同年Z⽉1⽇とする選考結果通知を提出。
Y社:代表者が就労開始後2週間ほど経過してからXに対し、労働条件通知書(有期/定年あり)を提示
…Xは特に内容に意を払わず、署名押印。
⇒その後、Y社は、Xを期間満了による労働契約の終了(雇い止め)、XはYとの労働契約は求人票の通りであるとして地位確認請求等を行ったものです。
[主な争点]
★求人票記載通りの労働条件で労働契約が成立したか?
★労働条件通知書への署名押印により労働条件は変更されたのか?
↓判決では、
〇Xは求人票を閲覧してY社の面接を受けて採用された
〇面接の際に求人票とは異なる労働条件の説明がないまま採用を通知されている
等から、〈XとYの間には求人票通りの労働契約が成立した〉と判断しています。
この件では、Y社が労働条件の主たる点を説明したことは認めたものの、既に働き始めており、変更を拒否すると収入がなくなることを心配して署名押印に応じたと認めています。つまり〈単に労働者の同意があるだけでは足りず、労働者の自由な意志に基づいて同意したと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在する〉ことが必要だとしています。
(門田より)『求人に記載していた要件(資格、経験等)に満たないけれど育成してみよう』そんな思いから、求人票と異なる労働条件で採用しているケースはありませんか?きちんと説明して、確認をして採用手続きを進めましょう。ちなみに、ハローワークの求人票には次のような記載があります。それだけ、ハローワークにはそうした問い合わせが多いということでもありますね。
【ハローワークからのお知らせ】
求人票は雇用契約書ではありません。採用に際しては、必ず労働条件通知書を交わし、賃金などの条件面を確認してください。(労働基準法第15条に基づく)。
022-796-9231




