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column:ギャップは誰がつくる?誰が埋める?

Harmony
2016/11/01

『杜の子つうしん』2016年10月号
(特定非営利活動法人・せんだい杜の子ども劇場発行)
巻頭言

我が家の向日葵がようやく咲きました(今は9月下旬)。

ちょっと寒そうにしている感じがします(笑)。

夏の間はなかなか成長せず、今になって太陽を探しながらひょろひょろと伸びてつぼみを付けました。 ちなみに咲いたのは、6本のうち一番背の小さなもの。一番背の大きな向日葵がまだ咲きません…それぞれのタイミングがあるのだな、と…。

私が社会保険労務士という仕事を始めてまもなく15年になります。社会保険労務士…極々簡単に説明すると「事業場における働く環境作り・人事労務管理のお手伝いと個人の社会保障に関する相談・手続役」とでも申しましょうか。

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高校1年生の時、現代社会の授業で憲法を1コマで1条ずつ学ぶ中で、もう少し勉強したい、と思い法学部に進学、当時は法律を生業にしようとはこれっぽっちも思っていませんでした。しかし、社会に出る直前にバブルが崩壊しました。「これから社会を支えていく若者が、社会に出るその瞬間は1回しかないのに、経済状況によってこんなに人生が変わってしまうなんて」という思いを持ちながら、就職活動に本気で向き合うことができないまま、所謂「就職氷河期の」という肩書が付いた卒業生になりました。ダブル・トリプルのアルバイトで生活しつつ、自分の足(力)で立てる(生活できる)人間になりたい、そう思っている時に出会ったのが社会保険労務士という資格でした。少し時間がかかりましたが幾多の経験を積み(笑)、現在に至っています。

その中で震災後、採用から定着に至るまでの道のりは事業主、従業員双方にとって一層厳しく、事業が継続、発展していくためにそこで働く一人一人が活きる職場づくりをしていく必要性を一層強く感じています。なぜなら、私が関与する事業所の動きを集計すると、離職が採用を上回り、退職者の補充をし切れないまま現場が回っている(回している)状況なのです。

皆さんも「人手不足」という言葉と「仕事がない」という言葉をどちらも耳になさっていると思います。どうしてなのでしょう?おそらく事業所は「採用した従業員には、長く活躍してほしい」と期待していることでしょう。もちろん従業員は誰もがその職場で輝く自分を想像して履歴書を送り、面接を受けているはずです。

しかしいつの間にか事業所と従業員の思いがすれ違い…働き方の多様化や転職への機会が以前より増えていることはもちろんですが、最終的には事業所が望む「従業員像」と従業員が思い描く「従業員像」にギャップが生じているということなのでしょう。

「すきま。裂け目。みぞ。へだたり。」ギャップという言葉の意味です。一人一人違う環境で生きてきた趣味も嗜好も異なる人たちが集団を作るのですから、職場において溝はあって当然。‘お互い’にその溝をきちんと認識し、事業の目的達成のため、‘チームになるため’、幅や深さの異なる溝を埋めていく~それをきっと信頼関係の構築というのでしょう。そうはいっても、職場の個々の関係性と努力に委ねるには社会の変化も教育の変化も大きすぎる~そんなことから、昨年から私が運営する会社で、新入社員、管理職、経営者等をそれぞれ対象にしたセミナーを始めました。

その中で9月9日、社会人になってあまり時間が経っていない皆さんへのステップアップ研修を行いました。午前中は自分自身の職場における位置付けと周囲との関係性を図で描き、午後からは立ち振る舞い、事業継続のためのお金の話(次の運営資金=今の売上-経費=利益・剰余:非営利活動も同じ)、行動目標の管理、社会人としての磨くべき力~頭を使って考え、言葉にし、周りと関わる盛りだくさんの講義をたっぷり8時間。まず皆さんが描いた図を見て息をのみました。職場、会社における<自分>をきちんと理解している!私たちは勝手に「ゆとり」「若者」「…」うまく関係性を築けないことに対して「世代間ギャップ」という言葉を使って溝を埋める努力から逃げていたのでは…報告したご担当、事業主の皆様は「こんなに分かっているのですか」と皆一様に驚いて感激していました。皆さんが描いた図は、上司が勝手に作っていた従業員との溝を埋めました。これだけの従業員を上司はきちんと受け止め、育てていけるのか、そう呟く事業主もいらっしゃいました。

この時私は、新たに職場に入る方々を迎える者(側)の役割は、その職場で働くことの意義と尊さを知ってもらうことであると確信しました。

社会の何か・誰かに貢献することは、生きていくことの背骨になる…せん杜も、地域とともに子供たちを育てる場所であると同時に、職員の皆さんにとっての職場です。一人一人がそれぞれの人生の花を大きく豊かに咲かせることができるよう、私たち理事には基盤となる土壌を豊かなものにしていく責任がある…6本の向日葵を眺めながら、そんなことを考えています。

(理事・社会保険労務士 門田陽子)