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column:私たちに求められるこれからの労務管理~昨今の相談事例から

Harmony
2014/04/01

3月20日 仙台南ロータリークラブ 卓話原稿

今日は、採用という視点でいくつかのお話をしたい、と考えてまいりました。

震災後、宮城の求人・求職の状況は客観的な数字では良好に見えているようですが、現実には、求人を出しても応募がないといったお話もよく耳にします。皆様の会社はいかがですか?現実には業種によって大きな倍率の差があるようです。皆様、経営者の方々ですから、会社として同志を迎え入れた暁には、長く会社の発展に寄与してほしい、というのが本音だと思います。採用担当者には「会社に貢献する、長く務める、良い人材を採用せよ!」とはっぱをかけていることでしょう。しかし、現実にはいかがでしょうか。勤続年数別の人員構成を数値としてお持ちですか?3年以内の離職率を皆様の会社で計算したことがおありですか?私が関与している事業所様でも実際に、5~10年目の社員がいないという現実がでてきています。先日は「『3年頑張ったので卒業します』と言われたんだよ!学校でもないのに!」というお話を受けました。「石の上にも3年」~このことを伝えていくのは本当にむずかしいな、と実感しています。

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これから4月にむけて、新入社員研修をいくつかお受けしています。皆様の会社に勤める「今の若い者」はいかがですか?最近は「社会人とは」というところから触れてほしい、というご依頼が多々あります。最近、私たちが「社会にでるのだから、ここまでは当然知っているであろう」というラインに自信がありません。自立した若者(次世代)を育てていくことは、社会(会社)の重要な役割だと実感しながらも、世代間ギャップに悩まされている、というのが実情ではないでしょうか。最近あった相談をいくつか紹介します。

・消えるボールペン・修正テープを使うこと~書類はきれいなほうがいい?
最近、ボールペンでも消えるものが販売されています。コピー機や熱にあたり、大切な書類の文字が消えてしまった、といった事故が起こっています。二重線に訂正印は見苦しいから修正テープをつかった、と当然のように言われた、という話もあります。
・採用手続は神聖・真正なもののはずです。しかし「身元保証人」についてごく最近も2件のトラブルがありました。1件目は、本人が体調不良を申し出た後、会社に来なくなり、連絡もつかなくなってしまったので、心配をして身元保証人に連絡をしようとしたところ、記載された連絡先は従業員本人の携帯電話で結局身元保証人にはたどり着かなかった、という話です。2件目は、親に前職の退職を言い出せず、次の採用の書類も依頼できなかったので、親の名前を友人に書いてもらった、ということが発覚した、という話です。懲戒処分にするかどうか、といった問題ではありません。一番背筋が伸びているはずのこの時に、こうした書類を出すことそのものに驚きます。従来は「背筋を伸ばして親族から書類をいただくことに意義がある」書面でしたが、本当に使おうとしたときに使えない書類では意味がありません。「身元保証」が、会社と身元保証人による「身元保証契約」であること、現実にその用紙を使用することを踏まえれば、身元保証人が押す印鑑は実印であるべきで、印鑑証明書を添付するのが本当の形なのでしょう。実際にそのように形を変えた事業所様もあります。・欲がない~採用時に適性検査を行うと感じることです。仕事と私生活を両立させるために、業務上の欲~出世したい、たくさんの給与がほしい、といった潜在的な欲求の偏差値が下がっているようです。これは人事上とても大きな問題です。頑張るための「ニンジン」の示しようがないのですから。結果として周辺事情~仲間とうまくいかない、将来が見えない等の一方的な理由で職を離れることにも、あまり違和感を覚えないのかもしれません。

…私たちと次世代とでは成長してきた社会・時代が異なるのだから意識が異なるのだ、ということを私たちは改めて理解する必要がありそうです。そうはいっても、この世代は間もなく社会を支えなければならない世代になります。私たちは、何を教え、何を伝えていかなければいけないのか、をよく考える必要があります。そして、本当に必要な人材がどういう人であるかを言葉にして従業員に示し、社会の中での会社の存在意義から商慣習、ひとつひとつの書類の意味まで一つずつ説明し、理解させる必要があります。あわせて、私たちが社会の中で働き給与を受けること、消費すること、納税すること、社会保険料を支払うこと~そうしたことを一つずつ伝えていくことで、「社会・会社の中の一員としての自分」価値観の共有を図っていく必要があります。

実は、この2月・3月と、パート(時給制・短時間従業員)からの年次有給休暇に関する申し出に関する相談が相次ぎました。権利については、大変関心が高いのも最近の傾向ですね。こうした場面でも、シフトで入ったあなたが休むと現場が困る=お客様に迷惑がかかるからなるべくシフトを組む時点で予定がわかっていれば勤務を入れないでほしい、という説明をしてうまく現場を回していく、といったことが必要です。(ちなみに、週1日勤務~週4日勤務の場合、フルタイムの有給に対して比例付与がなされます。詳しくは割愛します。)

事業運営をしていく以上、新しい人を採用しないわけにはいきません。この’人が集まらない時代’に、いかに’よい方に長く’働いてもらうか、ということを考えていく必要があります。
私はいつも、「採用」は面接から試用期間満了までが勝負!だ、と言っています。

求人は、各種要請等によりなるべく門戸を広げるのが事業所の社会的使命であり、採用後は事業主が退職を申し渡すためには大変高いハードルがあります。そのような中で「採用の自由」は事業主様に認められた「権利」です。面接での情報収集、試用期間を必ず設けてお互いにクリアすべきハードルを確認しあいながら本当にこの場所で働いていけるか、働いてもらってよいのか、を事業主も本人も判断する期間が必要です。そして「もう少し気になる点がある」としたら、それは正式採用ではなく、試用期間延長という形で対応する方法もあります。
私が、この仕事をしている中で信じていることが一つあります。それは「辞めようと思って履歴書を書く人はいない。」ということです。
実際に雇用し、雇用されてみて、現場に入ってこんなはずではなかった、はお互い様だと思います。その中でいかに’お互いに’理解しあいながら、折り合いをつけて、長く付き合っていくか、ということなのでしょう。

監督署対応や個別労働紛争のようなことに皆さんの大事な時間とお金を使わないために、私たちの役割は、きっちり目標を示す労働契約・就業規則を作成することです。頑張っている人を守り、裏切る人に対して毅然とした態度で対応できるものであることです。(最近作った契約更新条件の文言、業務習熟度チェックシート等の紹介)

これからも、使用者と従業員の信頼関係構築のために、私に何ができるのか、ということを常に考えながら、職務に就いてまいります。
本日は、ありがとうございました。

(社会保険労務士 門田 陽子)